シンガポールへの海外転職を果たし7年間シンガポールに住んでいた私。
シンガポール人の彼と婚約していたこともあって、移住5年目にはシンガポールの永住権も取得していました。
でも人生いろいろあるもので、のちに日本人男性と結婚し日本で家庭を持つことになった私は、色々と悩んだ結果、今回シンガポール永住権の棄権手続きをとることに決めました。

永住権の棄権手続きに合わせてやらないといけないのが、シンガポールの年金制度【CPF】の引き出し手続きです。
本当に長い間大切にしてきたのですが、今回意を決してその手続きをしてきたばかりなので、記憶が新しいうちにCPFを引き出すまでの流れをご紹介したいと思います。
目次
シンガポールの年金制度CPFとは?
シンガポールの年金制度【CPF】とは、Central Provident Fundの略。
このCPFがどんなものかというと、それは日本の年金制度とはまったく異なる年金システムで、
自分の老後は自分で面倒をみるというスタンスの強制的な積立型年金です。
CPFに加入できる人は、一定の所得のあるシンガポール国民と、シンガポールの永住権取得者のみです。
CPFに加入したシンガポール国民と永住権取得者は、毎月一定の額を給料からスパッと天引きされるので、手取りがけっこう減ります。
がしかし、このCPFのすごいところは、自分のお給料から差っ引かれた額に、雇用主がさらに上乗せして積立してくれるのです。
以下はCPFホームページに掲載されている現在の積立率。
55歳以下の人たちは、自分の給料から20%を引かれるのですが、同時に雇用主も17%を出してくれるシステムなので、合計37%の金額が将来の自分のために積立されていくのです。

CPF board (中央積立基金)のホームページより。積立率の目安です。
しかもこのCPFには利子もきっちりついていて、毎年所定の利率に応じて利子が政府から上乗せされるので、いわば【自分と会社と国】みんなで積立てしている感じですね。
のりこ
CPFの使い道は?
この強制的に天引き&積み立てされている、月給の37%にものぼる積立金ですが、積み立て続けた先にどんな将来が待っているのでしょうか?
その使い道はこんな感じです。
使い道① 老後の生活のため
まずは自分が年寄りになった時の年金として当然支給されます。
なので若いうちにどれだけこのCPFにお金を残せたかによって老後の豊かさが決まるわけですから、シンガポール人たちは結婚しても出産しても常に夫婦フルタイムの共働きでひたすら稼ぎまくります。
アンディ
使い道② ローンの頭金として
子どもの教育ローンやシンガポールの公営住宅HDBを買う時のローンの一部として使うことも可能です。
実は私がシンガポールの永住権を取得しようと思ったきっかけも、当時婚約していたシンガポール人の彼と新居を探している中で、外国人の私もCPFに加入していた方が住宅ローンが通りやすいという理由からでした。
またシンガポールはマイカーを持つのにも莫大なお金がかかるため、『車を所有する権利』に入札する時にもまとまった金額をこのCPFから引き出して使うことができます。

強制積立型というとなんとも無理やり給料から天引きされて損しているような気分になりそうなものですが、それはあくまでも日本の年金システムに慣れてしまった日本人の感覚かもしれません。
日本人は自分が払った年金がいつ誰にどんな風に使われているのかとてもグレーな感じですが、シンガポールの場合はCPFアカウントが開設され、ネットでいつでも自分の積立がいくらになったか見れるシステム。
のりこ
CPFは、シンガポール永住権が失効しても取っておける?
シンガポール永住権を取得した人の中には、何らかの事情で自国に帰国したり他の国に移住したりすることで永住権が失効してしまうケースがあります。
シンガポールの永住権が失効する仕組みについてはこちらの記事にまとめてありますのでご覧ください。
シンガポール永住権(Singapore PR)の棄権手続き
私の場合はシンガポールの永住権を残したまま帰国したのですが、CPFからは毎年必ずきちんと【CPF積立明細書】が送られてきていました。
シンガポールで仕事をしていなくても、永住権が失効しても、一度積立てを始めたCPFアカウントはしっかり存続し管理されており、しかも毎年利子もついていたのです。
それでも一度心配になってCPFに問い合わせのメールをして聞いてみました。
のりこ
するとすぐに返信があり、
『CPFアカウントはこのまま取っておくことは可能ですが、もし日本への送金などを希望される場合は所定の手続きが必要になります。』
とのことでした。
その問合わせのメールから数年後、私はついに正式に永住権を棄権してCPFをすべて引き出す決心をしたのです。
CPFを引き出す手順
1. 申請用紙の準備
CPFのホームページから所定の申請用紙をダウンロード・印刷し、基本的な名義人情報を記入します。
2. 必要な書類を揃える
【日本で準備するもの】
- パスポートのコピー(永住権のスタンプが押されているページ)
- 戸籍抄本(永住権取得時と氏名が変わっている場合)
- CPFを移したい日本の銀行に必要事項を記入してもらった申請用紙(CPFを日本の銀行口座に送金する場合)
- 永住権を取得した時のパスポートと現在有効なパスポートのコピー
【シンガポールで用意するもの】
- 英文の婚姻証明書(シンガポール日本大使館に戸籍抄本を提出し申請する)
- シンガポールのIDカード返却したことを証明する手紙(移民局で発行)
- シンガポール永住権の棄権を認める手紙(移民局で発行)
3. CPFサービスセンターに直接持っていくか、郵送する
すべての書類が揃ったら、シンガポール国内の各エリアごとに置かれている「CPFサービスセンター」というところに持っていきます。
私が事前に調べたところ、CPFを引き出す手続きに入る前に、シンガポール移民局で【永住権の棄権手続き】をして所定の手紙をもらうことが必要なことがわかりました。
また、とくに女性の場合は結婚などにより永住権取得時と名前が違うことがあります。
私も帰国してから結婚したので永住権もCPFアカウントも、シンガポールに残してきたものはすべて旧姓のままでした。その場合には氏名変更の書類(婚姻証明書)も必要になります。
CPFを引き出す全体的な流れ
『CPFを引き出すこと』は必ず『シンガポールの永住権を棄権する手続き』の後に行われなければいけないので、全体的な流れとしてはこうです。
-
- 英文の婚姻証明書を取得
- 移民局(ICA)でブルーカード(永住権取得者用のIDカード)を返却(永住権棄権)
- 移民局(ICA)で永住権を棄権したことを認める手紙をもらう(永住権棄権)
- 上記で揃えた書類やパスポートなどを持ってCPFの引き出し手続き(CPF引き出し)
移民局でもCPFでも、すべての手続きにおいて氏名変更を証明する【婚姻証明書】が必要でしたので、一番最初に英文の婚姻証明書を取っておくことをお勧めします。
のりこ
実際にCPFセンターでの様子や、帰国してからの銀行とのやりとりなどは、次の記事で詳しくご紹介しますね。
▽次の記事:CPFセンターでの引き出し手続き▽
シンガポールの年金CPFを引き出す②【CPFサービスセンターでの手続き】
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