シンガポールのローカルフードに欠かせないのが、多種多様な【麺】。
シンガポールで食されている麺料理の多くは、米作地帯である東南アジアで発達した【米麺】を使ったもので、多民族国家シンガポールならではの多様性をもって独自に発達した料理が、ローカルフードの主流として親しまれています。
もちろんシンガポール人の8割が中国系ということで、中国からの影響も大きく受けており、主に福建省や広東省、香港などの料理も人々に愛され定着しています。
シンガポールの麺文化
以前【シンガポールの超ローカル朝ごはん20選】でもご紹介したように、シンガポールのローカルフードには、多種多様な麺料理があり、シンガポール人たちは朝から普通に麺料理を食べます。
日本で朝からがっつりラーメンを食べる人はあまりいないと思いますが、シンガポールではむしろ麺料理は【朝に食べるもの】という認識すらあるようです。
それもそのはず、シンガポールに住んでみてわかったことは、シンガポールの麺料理は、一皿あたりの量も少なく、油ギットリのスープというよりは、さらっと食べられるあっさりしたものが多いのです。
シンガポールの麺の種類
では具体的にシンガポールでどんな麺が食べられているか、ご紹介したいと思います。ホーカーセンターなどで注文するときも、どの麺にするかを聞かれるお店もありますので、覚えておくと便利です。
①米の麺
日本ではお米で作られた麺を総称してビーフンと呼びますが、実は米麺をよく食べる国々(主に東南アジア)ではそのバラエティはびっくりするほどたくさんあります。
それぞれに太さ、長さ、乾麺か生麺かなどの違いで食感や食べ方が大きく変わってきます。(米麺そのもの味はどれもほとんど同じ)
Bee Hoon(米粉・ビーフン)
一番ポピュラーな米麺といえばやはりこのビーフンです。
なぜポピュラーかというと、ビーフンはでき上がった米麺を乾燥させて「乾麺」として出荷するため日持ちもよく、さらに軽くて輸送にも便利なことから多くの家やお店で使われています。
食べるときには水で戻してから軽く湯どうしして調理します。主に焼きビーフンにして食べることが多いです。
Kway Teow(粿條・クェイティャオ)
非常に読みにくい名前ですが、平たい中幅の米麺です。
シンガポールの代表的な炒め料理、『チャークェィティャオ』(=チャーは炒めることなので、クェイティャオを炒めたもの、という意味)に使われているのがこの麺。
生麺タイプなので食感はツルツルと柔らかく、甘辛く濃い味付けにとてもよく合う麺です。
Ho Fun(河粉・ホーファン)
ホーファンは、単純に上記のクェイティャオをもっと幅広にしたやつです。
かなり幅広なのですが、調理するときにはあらかじめ醤油で軽く炒めてから使うのでしっかり味が染み込んでいて美味です。
上から中華丼風の餡をかけたり、地域によっては牛肉をトロトロに煮込んだものをかけたりして食べます。
麺の食感はツルツルのベロンベロン、噛むとプリプリしています。
Laksa Noodles(ラクサヌードル)
読んで字のごとく、シンガポール名物ラクサに使われている米麺です。
やや太めの押し出し麺で、食感はプリプリとしていますがコシはありません。
米麺の中でもこのプリプリ感は抜群なのですが、食べてもあまりドスンとお腹にたまらない感じの軽さ。
こってり目のスープ(まさにラクサのような)と一緒に食べるのが良いようです。
Silver Needle Noodles (銀針粉・シルバーニードルヌードル)
別名ラットヌードル(ネズミ麺)と言われる短い米麺。
上記のラクサヌードルと同じものですが、ちょっと太めでかなり短いのが特徴。
短いのでレンゲですくってスープと一緒に食べるのがおすすめなんです。プリプリの食感が楽しく、真ん中の一番太いところは少しだけもちもちしています。
Kway Chap(粿汁・クェイチャップ)
クェイチャップは、ホーファンよりもさらに幅の広い米麺を、豚バラ肉やモツ、ゆで卵などをダークソースで煮込んだものと一緒に食べる中国の潮州料理です。
米麺が浮かんでいるスープはハーブのスープ。色が真っ黒なので最初見たときは引きますが、味はとてもあっさりしていてコクがあって美味です。
喉越しのよいツルツルの幅広麺、ぜひ食べてみてほしい一品です。
②小麦麺
Yellow noodles/Hokkien Mee(イエローヌードル/ホッケンミー)
小麦の麺の中で一番シンガポール料理に使われているのがこのイエローヌードル。
見た目そのままにイエローヌードルと呼ばれていますが、この麺は中国料理だけでなく、インド、マレーの焼きそばにも使われています。
この麺の特徴は、全くコシがないこと。味は日本のラーメンにも使われている麺と似ているのですが、食感はボソボソしています。スーパーでは生麺が袋にびっちり詰められた状態で売られています。
Ban Mian (板麺・バンメン)
バンメンはまさに日本のきしめんのような麺。
ホーカーセンターやフードコートでは、『Handmade Noodles』(手作り麺)というお店で売られていて、その名の通りバンメンはそのお店で麺を打ってその場で切ったものを熱々のスープで煮て出してくれます。
トッピングにはカリカリに揚げたジャコや豚肉が乗せられていて日本人にとても馴染みやすい味です。
La Mian(拉麺・ラーメン)
日本のラーメンはそもそもこの中国の「拉麺」からその呼び名がつけられたと言われています。
「拉」という字は中国語で「引っ張る」という意味なのだそうで、実際にシンガポールの中華料理屋さんでは拉麺の実演をしてから料理を提供してくれます。
拉麺は、職人さんが麺の生地を手で引っ張って伸ばし、何百本もの細い麺になるまで何度も引っ張る作業を繰り返して作ります。
麺はツルツルとしていながらもっちり感もあってとても美味です。
スープの味もたくさんある中から選べます。ただし、麺職人さんが麺を引っ張るパフォーマンス付きなので、ホーカーセンターやフードコートにはなく、ショッピングモール内などの中国料理店などでしか食べることができません。(←高い)
③たまご麺
Mee Pok(ミーポッ)
ホーカーセンターでフィッシュボールヌードルを注文すると、どの麺にするか聞かれることがありますが、特別な希望がなければデフォルトでこのミーポッで調理してくれます。
打ち粉をして打った黄色いたまご麺のミーポッは、シコシコとした平麺で、日本のラーメンにも使われていそうな感じの、とても親しみやすい味です。
Mee Kia(ミーキア)
ミーキアは、上記のミーポッと同じたまご麺の細麺バージョンです。
支那そばに使われるような少し透明感のある黄色いシコシコ麺で、ソースとの絡みも抜群。
日本のラーメンの麺に一番近い麺です。
Wonton Noodle (ワンタン麺)
香港ヌードルとも呼ばれる極細のたまご麺は、主にワンタン麺に使われていることからこの名前がつきました。
極細でハリのある麺は、茹でてもふやけることなく、シコシコを通り超してコリコリです。
シンガポールの麺ー異文化との融合
ここまでシンガポールで食べられている麺の種類をご紹介してきましたが、シンガポール料理の特徴は、これらの麺が中華料理だけでなく、インド料理やマレー料理にも広がって、それらがしっかり新しいシンガポール料理として確立しているということです。
インド文化と麺
ホーカーセンターに行くと、インド系のお店では真っ赤な色をした炒め麺が売られています。
ここでもイエローヌードルやビーフン、クェイティャオから1種類麺を選べてその場で炒めてくれます。
インディアン・ミーゴレンという名がつけられていますが、本場インドにはない料理なのだそうです。
味は、その真っ赤な見た目とはうらはらに全く辛くなく、インド風スパイスが香ばしくとても美味しいです。
マレー文化と麺
マレー系の麺と言えば、イエローヌードル(ミー)を使った焼きそば「ミーゴレン」があまりにも有名ですが、シンガポールではさらに中国文化との融合でプラナカン料理になり、太めの米麺を使ったラクサや、ビーフンを使ったミー・シアンなどがシンガポールを代表する料理になりました。
シンガポールの麺ー麺料理に対するこだわり所のちがい
私がシンガポールに住んでいる間に気になってならなかったのが、シンガポール人たちの麺のテクスチャーへのこだわりのなさ。
上記で紹介したたくさんの麺の中で、『麺を食べている』という噛みごたえや多少のもちもち感を楽しめるのは、バンメンと拉麺だけです。
その他の麺にはほとんど歯ごたえはなく、むしろ米麺のラインアップに求めているのは『のどごし』だったりするので、だいたいがペロンと口に入れてすぐ飲み込めるほどの柔らかさです。
シンガポールのローカル料理の中には、イエローヌードルとビーフンを一緒に混ぜて出してくれるところもあり、(注文する際は「ビーフン・ミー」と両方の名前を呼ぶと半々に入れてくれます)
それぞれゆで時間が違うだろうに、と思いつつ食べてみると、意外と同じ感じに仕上がってくるからまた不思議。
一度に両方の麺を食べてみたいという人にはオススメです。
まとめ
今回の記事ではシンガポールで食べられている【麺】についてあれこれご紹介しました。
これだけ豊富な種類の麺がある中で、それぞれが適材適所きちんと合うソースやスープの元におさまって、シンガポールのローカル料理として美味しく仕上がっているというのはとても面白いと思います。
ぜひシンガポールで麺を楽しむ際は、上記の中からたくさんの種類の麺を食べてみてくださいね。
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