シンガポールに住んでいた頃に、現地の中国料理店で食事をしていた時のことでした。
『ズズズーーーーッ!!!』
突然店内になり響く勢いよく麺をすすりあげる音。
突然の『ズズズーー!!』にびっくりして、思わずそのテーブルを見てしまう店内のお客さんたち。
みんなの視線の先にいたのは、出張者と思われる日本人男性5人組でした。
目次
シンガポールでは非常識!麺をすする音
地元シンガポール人にも観光客にもとても人気だったその中国料理店は、その日も激混みでした。
そこで起きた周りにいるシンガポール人をびっくりさせるほどの日本人軍団の大きな麺をすする音。
食べていたのが一人ならまだ誰にも気づかれなかったでしょうが、5人で一斉に盛大にすすったもんだから、店中に響くほどのすごい音になってしまい、周りはちょっとざわつくほどでした。
麺をすするのは日本ではごく普通の麺の食べ方。
しかしシンガポールでは音を立ててものを口に運ぶのはタブーなのです。
その日本人のおっさんたち、本人は何も悪いことをしていないつもりが周りの人たちに不快感を与えてしまったのです。
シンガポールでは全然『アリ』な常識!日本ではタブーな食べ方
【郷に入っては郷に従え】
という言葉とおり、一歩海外に出たらその土地の習慣や最低限のマナーは理解しておきたいもの。
毎年多くの観光客で溢れかえる国際都市シンガポールでも、実はあまり国際化されていないローカルの人たちの常識があるんです。
① 食事はスプーンとフォークで食べる
これはシンガポールのみならず東南アジア諸国に共通する文化なのですが、普段の食事は
「ナイフとフォーク」でもなく、
「箸」でもなく、
「スプーンとフォーク」という組み合わせで食べます。
右手がスプーン、左手がフォークです。
この二つを使って、麺は短く切りながら、ご飯は右手のスプーンに上手にフォークで乗せながら、器用に食べます。
ホーカーセンターやフードコートで麺類を食べるときのみ箸を使います。
② 麺はすすらない
シンガポールでは、基本的にどんな麺もすすって食べることはありません。
ではどうやって麺を食べているのでしょうか?
それはこんな感じです。
- 箸を使って麺を持ち上げ
- スタンバイしておいたレンゲに乗せて
- レンゲごと口に入れる
というスタイルが一般的です。
中国の一部の地方ではすすって食べる人たちもいるようですが、私の知る限りでは麺類をズルズル音を立てて食べるのは日本と韓国だけではないかと思います。
それ以外の国では、大きな音で麺をすするとびっくりされたり嫌な顔をされたりしますので、少しだけ気をつけましょう。
③ 朝から冷たいものは飲まない
常夏の国シンガポール、乾季の暑い日などは朝から30度超えなんてこともよくあります。
そんな暑い国だからこそ、常に冷たいものを飲んだり食べたりしたいと思うものではないかと思うのですが、シンガポール人は違います。
朝から体を冷やすのはよくない
という教えのもと育ってきたシンガポール人たちは、朝の飲み物は必ずホットです。
私がホーカーセンターでアイスレモンティーを頼んだら、
「まさかとは思うけど氷はいるのか?」
と聞かれ、「お願いします」と言ったらものすごくびっくりされたのを今でも覚えています。
④ テーブルの上はゴミ箱と同じ
彼らの中では麺をすするのはマナー違反なのですが、だからと言って彼らの食べ方が綺麗かというと決してそんなことはないのが現実。
彼らの中では、口に運ぶまでに音を立ててズルズルいくのは絶対的にNGなのですが、一旦口に入ってしまえばあとはくちゃくちゃしても口がらボロボロこぼれてもOKなのです。
日本とは真逆な価値観ですよね。日本ではものを口に入れたまま喋るな、くちゃくちゃ音を立てるな、が常識。
シンガポールの代表的な料理といえば「チリクラブ」ですが、彼らと蟹なんか食べに行こうものなら大変です。
彼らの食べ方は、
- とりあえず殻ごと蟹を口の中に入れて
- そこから口の中で殻と身を分けて食べながら
- 残った殻を口から直接テーブルの上にペッと出す
というもの。
日本では自分が食べたものの残骸をお皿や殻入れではなくテーブルの上に直接吐き出すなんて、非常識きわまりない行動と思われますよね。
でもそれはシンガポール人にとってはごく普通の光景なのです。
中医学がベースとなっているシンガポール人の常識
シンガポール人の言動で私がなかなか理解するのに時間がかかったことがあります。
それは主に以下のようなもの。
- 咳が出る日はチョコレートを食べてはいけない
- 風邪をひきそうになったらハーブに頼る
- ドリアンを食べたら塩水を飲む
- heaty(ヒーティー)という言葉をよく使いできるだけそれらの食べ物を避けるようにする
とにかくシンガポール人がよく口にする言葉が、
シンガポール人
です。
この『ヒーティ』というのが何者なのかは後述するとして、
とにかくシンガポールに住む中国系の多くが、生まれた時からこの伝統的な中医学の教えを忠実に守っているのです。
そしてことあるごとに目の前にあるものが『ヒーティ』かどうか、今の体調で食べて良いものかどうかを瞬時に判断します。
口にするものには「隠」と「陽」がある
お土産やおすそ分けでチョコレートを職場のみんなに配ったことが何回かあったのですが、その内の数人からはシンガポール人にしては珍しく
「今日は喉が痛いからチョコはいらない」
とお断りされることがありました。
のどが痛いのとチョコレートと何の関係があるんだ?
とキョトンとしてしまいそうですが、それらはすべて「中医学」に基づいているもののようです。
中医学の教えでは、口にするものすべてに「陽」と「隠」があり、
彼らの言う『ヒーティ(heaty)』というのが「陽」、逆にcoolingなものが「隠」とされているのです。
理想的には陽と隠がバランスよく保たれているのが良い状態で、
このバランスがどちらかに偏るだけで、体調やメンタルに悪い影響が出てくると考えられています。
具体的にどんなものが「陽」で、どんなものが「隠」なのかそれぞれ調べてみました。
陽(heaty)の食べ物:刺激物など体に熱を持たせるもの
- コショウ
- 生姜
- 鶏肉
- ココナッツ
- ニンニク
- ドリアン
- コーヒー
- ねぎ
- タバコ
- ハム
- チョコレートなど
こちらはHeatyな方の食材の一覧です。
チョコレートが拒まれた理由がこれですね。
要はこれらを多く食べると、そのエネルギーが体内に溜まってしまうという考えに基づいているのです。
隠(cooling)の食べ物:主に体を冷やすもの
- たけのこ
- バナナ
- ゴーヤ
- 蟹
- グレープフルーツ
- レタス
- 柿
- 海藻
- 塩
- ブロッコリー
- カリフラワー
- 卵の白身
- ズッキーニなど
こちらが「隠」の食材。
一見すると体に良さそうなものばかりですが、実際にはこればかり食べてると体を冷やしてしまい、倦怠感やめまいなどどんどん免疫が弱くなっていくそうです。
そして私が不思議に思っていた『ドリアンを食べたら塩水を飲む』と言うのも、中医学的に理にかなっていたこともわかりました。
これらは「隠」と「陽」の食材の一例にすぎないようですが、体が「陽」寄りになると
- イライラしてキレやすくなったり
- 体が火照ったり
- 鼻血が出たり
- 口内炎ができたり
このような症状が出てくるそうなので、そんな時は「陽」に属する食べ物を控え、「隠」のものを多く摂る。そうすることで中和されるのだとか。
シンガポール人の常識・非常識:まとめ
日本では『常識』でまかり通っていることでも、一歩日本の外に出たらそれが一切通用しないこともあるものです。
特に食べ方のマナーについては、それぞれの国が持つ長い歴史や文化の中で培われてきたものが多く、一概にどちらが正しい!と言い切れないのも事実。
いずれにしても、日本とシンガポール、それぞれに違う常識と非常識を持ち合わせていたとしても、
お互いに気をつけなければならないのは、『その国の文化や考え方をリスペクトする』という姿勢だと思うのです。
日本ではラーメンはすすって食べるのが当たり前。
でもシンガポールに行ったらそれはとても失礼な行為。
日本人の私たちはシンガポールだけでなく、どの国に行ってもそこの文化やマナーをきちんと理解し、適応していく努力が必要なのかもしれませんね。
ぜひシンガポールに行く機会があったら、彼らの食べ方や考え方がどんなものかじっくり観察して見てはいかがでしょうか。
その文化の違いの大きさに、きっと驚くはずです。
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