ここまでシリーズで書いてきました、【めげない英語学習法】もついに最終章がやってまいりました。
いよいよスピーキングという最大の難関に取り組みます。難関といっても実際には難しい作業なんて一つもないのですが、このスピーキングは一番モチベーションが続きにくく、独学の場合は継続が難しく、成果がわかりづらく、挫折しやすい分野なので、ある意味英語学習の落とし穴的な存在なのです。
でも大丈夫。
ほんのちょっとの工夫で、続けることも上達することも可能です。
目次
習得に一番時間がかかるのに、一番最初に忘れてしまうもの
英語の勉強をしていく上で学習者が覚えていく流れがあるとすれば、
- 読む
- 聞く
- 書く
- 話す
この順番で徐々にできるようになっていくのではないかと思います。実際に私がそうでした。
そしてその一方で、英語の勉強をやめたり中断したりサボったりすると忘れていく順番は、
- 話す
- 書く
- 聞く
- 読む
と面白いほど反対の流れになっていて、ようは「話せる」というスキルは、日々触れ続けていなければそう長く私たちの頭や体には留まってはくれないということです。
【習得】不自由なくしゃべれるようになるまで
ネイティブスピーカーほどにではないにしろ、意思疎通が普通に図れるレベルまで話せるようになるには、おそらく最低3年くらいはかかるのではないかと思っています。それも、練習する頻度や内容の濃度によってはもっとかかることも。
ちなみに私はシンガポールで7年間ほぼ英語オンリーの環境にいましたが、本当にスッと英語が口をついて出るようになったのは、5年目くらいからです。それでも全然完璧ではありませんでしたが。
もちろん英語オンリーの環境に身を置けるならばそのスピードは爆速になりますが、ここでは基本的に日本にいながらにして独学で英語を学ぶことを前提にしているので、日本でどのようにしたら英語を話す練習ができるかをご紹介していきたいと思います。
【忘却】忘れるのは本当にあっと言う間
先ほど英語学習での【覚えていく順番】と【忘れていく順番】をご紹介しましたが、「話す」というスキルはとにかくサボったその瞬間からアッというまに脳ミソから抜け落ち、口もすぐに英語を発音していたことを忘れてしまうのです。
英語学習と筋トレは共通する部分があるようで(筋トレしないので想像ですが)、各部位の筋肉を丁寧に毎日鍛え込むことでムキムキの筋肉を得ることができますが、筋トレをやめてしまうとアッというまに元のたるんだ体に戻ってしまう。
英語も一緒で、読む・書く・聞く・話す各分野をそれぞれ日々丁寧に練習して積み上げる。しかしそれをストップした段階で、「現状維持」なんて甘いことは許されず、そこからどんどん小さく弱くなってしまうのです。
【実体験】9年のブランクでどうなったか
私がシンガポールに住んでいた7年間は、本当に英語オンリーの生活を送っていました。ところが帰国することを決めて、日本での生活をスタートしたその瞬間から私の生活は180度変わり、完全に日本語オンリーの生活が始まりました。そこからなんと9年間、一度も海外に出ることなく日本で子育てをしてきたのです。
するとどうでしょう。
スピーキング力、地におちる
その9年間のブランクで、私のスピーキング力はどうなったかというと、正直なところ「まさかここまで?」と思うほど地に落ちていました。
9年ぶりのシンガポール、やはり行ってみれば懐かしい場所や久しぶりの友達との再会があり、すぐに当時の感覚に戻ることはできたのですが、喋ろうと思って口を開けるが英語が出てこない。言いたいことはわかっているのに、どこかに引っかかって出てこない感じなのです。
日本人みたいになったと笑われる(日本人ですけど)
一緒に食事をした友人には、『前はシンガポール人みたいにしゃべってたのに、今は日本人みたいになった!!』と笑われました。
やはり以前は頭の中でも全て英語で考えていたのに対して、9年間の日本語オンリー生活によってすっかり日本語脳に戻ってしまい、言いたいことは日本語で考えて、それを英語に直してから言葉にする、というシステムに切り替わってしまっていました。
少しずつ回復(全快ではないけど)
最初はその絶望的な状況に私自身も唖然としましたが、現地で1〜2日過ごしているうちに、どんどん感覚が戻ってくるのが実感できました。あ、そうそう、こんな感じ〜 という風にどこかで眠っていた私のスピーキング力が、ちょっとずつ起きて集まってきた感じで、1週間後に帰る時には、全盛期の半分くらいまでは回復していたと思います。
具体的なスピーキングの勉強方法
ではいよいよ、具体的にスピーキング力を上げるためのオススメの勉強法をご紹介したいと思います。
読む、書く、聞く、まではなんとか一人で練習を積み上げることは可能でも、スピーキングばっかりは一人じゃできないと思っている方も多いと思います。
スピーキングは脳と口を使う作業。口や舌に英語を発する癖をつけておく必要もあります。
発音は大事:通じなければ意味なし
日本人がやりがちなのは、英語にカタカナで読み仮名をふってしまうこと。
読み仮名をふった段階で、日本語にはない英語特有の音は全て消されてしまうのです。
するとその発音は完全に「じゃぱにーずイングリッシュ」、英語とは別物になってしまいます。
そして恥ずかしがり屋さんの多い日本人は、例えば『R』の発音で舌を巻いてみたり、『TH』の発音で舌を軽く前歯で噛んだりすることに照れてしまう人のなんと多いことか。
「なんか外国にかぶれてるヤツみたいで照れくさい」
という気持ちもわからないでもないですが、そう思ってるのはあなただけであって、むしろカタカナまる出しのじゃぱにーずイングリッシュを繰り出す方が、現地では恥ずかしいことだと言うことを知っておくことが大事です。
ちなみにこちらは私がシンガポールにいた時の日記の抜粋です。(日系メーカーに勤めていた時)
最近日系企業に転職した私。そんな私の中でけっこうホットなのは、駐在員の方たちが話すもろじゃぱにーずな、カタカナ英語。
ある人が現地人スタッフにむかって何かを貸してくれと必死でがんばっている。
耳を傾けてみると、
「ホッチキス!」「ホッチキス!」。
無論伝わるわけもない。
そこで彼は、伝わらないのは発音が悪いせいだと思ったのか、特上の笑顔とともに
「ハッチキ~ス!」
と親指を立ててみた。
彼がホッチキスを手に入れられるのはいつになるのやら。
(ちなみにホッチキスは英語でstaplerです)
完コピ
スピーキングの極意は、完コピにあると思います。
何をコピーするかというと、英語の歌の歌詞や、映画やドラマのワンシーンのセリフ、コマーシャルのキャッチコピーなど、比較的短い文章を、発音やイントネーションごと、完全にマネしてみるのです。完全に、完璧に、です。これが、やってみると非っ常に難しい。
ちなみに私が完コピしたものの一例を挙げると、ボーイズバンドの先駆けだったNew Kids On The Blockの『Where do I go from here』と言う曲の一番最後で、私が大好きで結婚したかったジョーイが切なく歌う
“Tell me, do I tell you that I love you? Tell me, do I tell you that I need you? Where do I go from here?”
というフレーズでした。これ、歌の中ではなかなかのスピードで滑らかに歌われているので、完コピするのも大変でしたが、完コピで暗記したものって、文法を含めてなかなか忘れないものです。今でもきっちり歌えます。
鬼の繰り返し
さらにスピーキング力を上げるための秘訣は、完コピしたものや覚えたフレーズなどを、とにかくひたすら、ちょっと頭がおかしくなる一歩手前まで繰り返し繰り返し口に出して話してみることです。
一人で同じことを何度も何度もつぶやくのでちょっと怪しいですが、この個人練習は本当に重要です。口の動きや発音は、実際に何度も何度も話してみることでだんだん覚えて、自然にできるようになるまでじっくりジワジワと上達して行きます。
アウトプット
個人練習を積み上げたら、ここでも必ずしてほしいのが【アウトプット】です。英語を学習する上でとにかくどの場面においても必要になってくるのが、実際に「現場で使ってみる」ということなのです。
聞くこと、話すこと、全ての段階で【アウトプット】することが必要となってきますので、とにかく身近にいる外国人と友達になるところから始めましょう。身近にいなければ、今の時代はスカイプなどで繋がることも可能です。
まとめ
今回は、英語学習の中でもおそらく多くの日本人が苦手とする【スピーキング】についてご紹介しました。どの分野においてもそうですが、特に語学の習得には必ず、コツコツ積み重ねること、継続すること、実際に覚えた言葉を使ってみること、の3つが必要不可欠です。
日本にいながら独学で学ぶ場合は特に、英語に触れている時間を1分でも1秒でも多くとることが大切です。むしろそれさえできていれば、あとは目標達成まで無心で継続あるのみですので、ぜひ頑張ってみてくださいね。
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