日本人には謎多きヒジャブの秘密【ムスリム女性の素顔とは】

多民族国家シンガポール。

旅行などで訪れた時によく見られる光景の一つに、頭にカラフルな布を巻いて、ケバヤやバジュ・クロンと呼ばれる民族衣装で全身を覆うイスラム教徒の女性たちの姿があります。

宗教に対してビックリするくらい知識不足で、おかしな偏見すら持っている日本人にとっては、このムスリム女性たちの装いがとてもものめずらしく見えて、つい上から下まで見てしまいます。

彼女たちが頭に巻いている布は、ヒジャブ(Hijab)と呼ばれるものです。

そもそもヒジャブってなに?

ヒジャブというのはもともと、『女性の美しい部分は人の目から隠すべし』という『コーラン』の教えに基づいて着用されているもの。

イスラム教では髪は女性の美しさを表す象徴なのだそうで、ヒジャブは公の場で女性の髪が人目にさらされるのを防ぐ役割を果たしています。

またその教えの根源には、女性がその身体的な魅力をしっかりと隠し、男性に見せないようにすることで、男性が良からぬことを考えることがなくなり性的な社会問題が起きるのを未然に防いでいるという考え方もあるのだそうです。

ヒジャブをしている人とそうでない人との違いとは

イスラム教の国や、シンガポールのようにイスラム教徒の国民が多い国に行ったことがある人は気づくかもしれませんが、ムスリム女性の全員がこのヒジャブをしているかと言えば、そんなことありません。

子どもの頃からヒジャブをしている人もいれば、大人になってもしない人、何かの行事や儀式の時だけする人、成人や結婚などの節目でするようになる人などなど、本当に様々なのです。

私にはマレー系シンガポール人の友人もけっこういますが、彼女たちをみていても、若い頃はヒジャブをしないどころかイスラム教ではタブーとされている露出の多い服を着て出歩いたりしていました。

でも現在はみんな結婚して子どもがいて、そのほぼ全員がヒジャブをするようになりました。

このように、同じムスリム女性でも、その家庭や本人の意思で、「今日からヒジャブしよう」と決めていいものなのだそうです。

ファッションとしてのヒジャブ

そして最近ではこのヒジャブがムスリム女性の間で立派なファッションアイテムになっています。

以前は無地のモノトーン生地でベタに落ち着かせるのが主流だったヒジャブですが、今はその色や柄、素材まで本当に様々な選択肢の中から自由に選べるようになりました。

① カリスマYoutuberやモデルが魅せるヒジャブ

私のムスリム友達もまた、お地味になりやすかったヒジャブの暗いイメージを、いろんな巻き方で楽しむことですっかり払拭してしまいました。

彼女たちがお手本にしているのは、カリスマムスリム女性Youtuberが教える『ヒジャブの巻きかたチュートリアル』など。

内容はシンプルで、それはもう美しいムスリム女性が(上記Youtuberはチャンネル登録者数40万人越えの人気ファッションリーダー)、下地となる帽子のようなものをかぶったところから、ヒジャブをどうやって巻いて行けばより美しく見えるかを丁寧に説明してくれています。

② TPOに合わせてバリエーション豊富なヒジャブ

そしてムスリム女性たちがヒジャブをファッションの一部として楽しみ始めたのには、様々なシチュエーションに合わせたヒジャブがたくさん現れたことも理由の一つにあげられると思います。

例えばイスラム教徒が暮らす国にはシンガポールやマレーシア、インドネシアなど、暑い国がとても多いのですが、そんな暑い国で着ていても苦にならない涼しい素材のものが開発され、むしろヒジャブをしていた方が涼しいくらいだという人もいます。

また水着のヒジャブ、フィギアスケートの衣装用のヒジャブなどアスリートをサポートするヒジャブも数多く用意されるようになり、スポーツでもムスリム女性たちが活躍する場所は確実に増えているのです。

③ メイクやアクセサリーと連携

おしゃれなムスリム女性たちは、ヒジャブそのものの色や柄・素材のアレンジにとどまらず、そこにつけるブローチなどのアクセサリー類もいろいろ工夫したり、それにあうメイクも合わせてトータルでコーディネートしたりして楽しんでいます。

また、『ムスリムロリータ』なんて文化もあるようです。ムスリム女性が日本のロリータファッションに憧れて自分たちのヒジャブスタイルをロリータ風にアレンジ。

基本的にロリータファッションは肌の露出がそもそも少ないので、ムスリム女性たちも取り入れやすいようです。

④ ムスリム以外の女性が着てもOK?

実はこのヒジャブ、そもそもイスラム教の教えに則って女性が髪を隠すのが目的だったのですが、結論から言うとムスリム女性以外でも着用してOKなのだそうです。

ここ最近のムスリムファッションは大きく変化を遂げていて、彼女らがまとう「肌の露出が少なく身体のラインを強調しない」服装は、Modest Fashion(モデスト・ファッション=控えめな、慎ましいファッション)と呼ばれる新しいファッションのカテゴリーを生み出し、ムスリム女性のみならず、世界中の女性に受け入れられつつあるのだそうです。

ユニクロでもムスリムファッション

そんな多様化しているムスリムファッションですが、ユニクロでも通気性ばつぐんの「エアリズム」を使ったヒジャブが開発されたり、全体的にゆったりとシンプルなシルエットのバジュ・クロン(ムスリムの伝統衣装)を展開したりと、ムスリム女性はもちろん、日本人女性にも普段着として取り入れてもらえるアイテム作りをしています。

ムスリム女性は大変?不自由?かわいそう?その真実とは

どんなに暑くても長袖ロングスカートで極力肌を見せず、なおかつヒジャブで頭ごと隠しているムスリム女性たち。そんな姿から、つい私たちは、彼女たちが宗教上の理由でガマンを強いられ、男性の言いなりになってあのほっかむりをしているのだろう、と勝手に思いがちです。

でも実際は違います。彼女たちは皆、自らの意思でヒジャブをするかしないかを決め、そしてそれをすると決めた人たちは、それをファッションとして楽しみながら自分たちの生活に取り入れているのです。

また彼女たちは家の中や女性同士で集まったりするときには、ヒジャブなどは脱いで、とても自然体で好きな服を着て過ごすのだそうです。そんなメリハリもなかなかおもしろいですね。

まとめ

今回の記事では、宗教に疎い日本人には馴染みのない、ムスリム女性たちのムスリムファッションの変化についてご紹介しました。知らないが故に私たちが勝手に決めつけていた「ムスリム女性は不自由そうで不憫だ」というイメージは、実は完全なる不正解で、本当は彼女たちが自分で決めて楽しんでいる文化の一つなのでした。

ムスリムファッションは、日本でもこれから伸びるカテゴリーの一つとして、さらに注目を浴びる日がくるかもしれませんね。

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