日本のユニークな電話応対マナー【日本だけの特殊なルール】

日本で就職したばかりの新入社員にふりかかる第一の試練、『電話応対』。

それはまるで、中高生の部活でただひたすらに「球拾い」をさせられる1年生と同じような、わりとムダな下積みをさせられているのと少し似ています。

そもそも現代の新入社員くらいの年代は、ものごころついた時から携帯の恩恵を受けているので、ひと昔前のように、家の電話にかけて、『◯◯さんお願いします』なんて取り次いでもらうことすら縁遠く育ってきたのです。

そこにきて入社した会社で右も左もわからないままやらされる電話応対は、とても独特な文化であり、難易度も高めです。そのわりに実際の仕事内容とは無関係な経験だったりするので、新入社員たちはいたずらにストレスを抱えていくことになってしまうのです。

とてもユニーク、日本の電話応対マナー

日本では「社会人としての基本中の基本」と言われている電話応対。電話の応対をした人の受け方一つで会社の印象が左右されてしまうと教えこまれています。具体的な内容は以下のとおりです。

① 3コール以内で出ろ!と競わされる

電話が鳴ったらとにかくすぐ出ろと言われる。だいたいの会社では3コール以内に受話器を取らなければならないと言われ、何をしていてもその手を止めて受話器を奪い取るようにして電話に出ないといけません。

そして万が一、3コールで出られなかった場合は、『お待たせいたしました!』と本当に大変申し訳なさそうな声でお詫びを入れます。5コール以上してしまった日には、相手が誰かもまだわからないうちから『大変お待たせして申し訳ございません!』とさらに切迫した感じでお詫びを入れます。

② 相手の顔は見えないが、こちらはとびきりの笑顔です

電話がなったら、『お電話ありがとうございます。株式会社◯◯、どこどこの(部署名)の▽▽でございます。』と明るくはっきりとした声で、元気よく出なければいけません。

日本では、『電話応対は相手の顔が見えないので、声だけでも笑顔が伝わるように、明るい高めのトーンで話すこと』が良いことと教えられます。会社によっては目の前に鏡を置いて、相手には顔が見えていなくても電話に向かってしっかりと笑顔で応対することを求められるところもあります。

③ 取り次ぎの内容が難易度高め

こればっかりは本当に大変すぎて、新入社員にとってはかなりのストレスになります。

まず電話に出るだけでもかなりの緊張するというのに、そこから相手の会社名と名前を聞いて、まだ覚えきれてもいない部署内の誰かに取り次がなきゃいけないとなったらもう完全にパニックです。

相手の会社名をメモっているうちに誰からの電話だったのか名前をすっかり忘れたり、相手の情報はしっかり覚えられたけど、こちら側の誰宛の電話だったのか忘れてしまったり。難しい名前の人がいたりしたらもうアウトです。

④ 相手が切るまで切らない

電話での用件が終わって、いざ電話を切るとなったら、あなたはどのように切っていますか?

日本では電話の切り方にもしっかりとマナーが決められています。

  • 基本的には、かけた方から切る
  • 受けた場合は、相手が切ったのを確認してから、そーっと受話器をおく

一体こんなの誰が決めたのだろうと不思議になってしまいますが、わりとどこの会社でもビジネスマナーの一つとしてみっちり教えられます。

このルールから『電話は、かける側が優位、受ける側は立ち位置低め』という暗黙の了解みたいなものが垣間見えます。何事にも優劣つけたい民族なのでしょうか。

⑤ 相槌は、「ちゃんと聞いていますよ」の証

日本人同士の会話では、相手の話に合わせて相槌をうつのがマナーですよね。

しかし相槌にもセンスが必要で、むやみに入れてしまっては話をちゃんと聞いてないと思われてしまうし、何も入れないでいるとそれもそれで何も聞いてないと思われます。

なので日本人は、相手の話に邪魔にならないよう、小さめのボリュームで、

「うんうんうん」

「えぇ えぇ えぇ」

「ほーほーほー」

「はーはーはー」

「ヘェ〜」

「ふ〜ん」

と若干かぶせ気味に入れていくことで、「ちゃんと聞いていますよ」、「あなたの言っていることに共感していますよ」というのをしっかりアピールしてあげます。

海外の電話応対

ではその一方で、海外の電話応対はどのようなものかを見ていきましょう。

① 各社員に専用の内線番号が与えられ、直通でかかってくる

海外では、各社員のデスクに必ず1台電話が用意されています。それは日本と変わらないところですが、日本と決定的に違うのは、会社の代表電話は専門のオペレータにつながることになっているので、社員それぞれの電話に不特定多数の人から電話がかかってくることはないのです。

なので基本的に日本のような『電話の取り次ぎ』という業務自体が、存在しません。

② 出始めは「ハロー」のみ、無駄な挨拶の応酬はなし

電話が鳴ると、だいたいのケースは相手が誰からなのか予測がつきます。なにせ、その電話にかけてくるのは自分と直接仕事で関わっている人しかいないのですから。そして電話に出る時は、「ハロー」だけです。

「お世話になっております」だの「いつもありがとうございますだの」そんな挨拶は必要なし。すぐに本題に入ります。

③ 用件が済んだらすぐ切る

そしてここも日本とは大違いです。用件が済んだら、

『OK, Bye』

で、ガチャン!です。

日本では電話を切る時には、電話の本体に直接受話器を置くと機器が触れる音が相手に聞こえてしまうということで、まず指でそっとフックを押して、そのあとで受話器を静かに戻すという、神経質なまでの気配りをしていますが、海外では誰もそんなこと気にしません。

④ 基本的に相槌は重要視しない

外国人からすると、日本人の電話での相槌は見ていて本当に不思議なんだとか。

「うん」とか「ううん」とか、口を開けずに微妙な喉の奥で鳴らす声のニュアンスでイエス・ノーを表現したり、「はいはいはいはいはいはい」と同じワードを何度も早口で繰り返したり。

海外でももちろん相槌は入れますが、電話口で相手が話している時は口を挟んだり、腰を折ったりするのはむしろ失礼になるので、基本「無言」で聞いているか、ある程度のタイミングで、

「OK」

「I see」

「yes」

などをチョイと挟める程度です。

まとめ

もちろん、日本の電話の応対マナーが「やりすぎ」とか「やるだけ無駄」だとは言いませんし、海外のやり方がすべてGOODだとも言いません。

しかし私が今回日本と海外の電話応対を比較してみて思ったのは、やはり日本のやり方には「新人は下積みから」という意識が根強く残っていて、どんなに能力が高くても実務でバリバリ活躍できるようになるまでには一定の期間は全員同じレールの上に乗ってろ、と言われている感があるのです。

電話の取り次ぎにしても、「社会人の基本」などと言われてはいますが、その取り次ぎの時間とストレスに対して得られる効果はさほど高くなく、むしろ直通で電話のやりとりをしていればもっと早く仕事が終わるかもしれないのです。

電話応対のマナーは、大切ではありますが、最重要課題でも「社会人の基本中の基本」でもないというのが実態なのではないかと思うのです。

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