こんにちは、のりこです。
【テーブルマナー】というと、どうしてもフォークとナイフがぞろりと皿の周りに置いてあってどれがどれ用なのか迷ってしまうフランス料理のフルコース的なものをイメージしがちですが、本当はもっともっと身近なもの。
テーブルマナー とは、それぞれの食文化が培ってきた決まりに従い、食事の際に用いられる道具を適切に使い、食事を共にする人々に敬意をはらう行儀作法のことである。(ウィキペディア)
とあるように、ざっくり言うと『それぞれの食文化に適した食べ方をする』ってことです。
日本のテーブルマナーの代表的なものとして『箸の使い方』がありますよね。幼少の頃に親からつきっきりで箸の持ち方を習った人もいるのではないでしょうか。そのほかにも器は左手に持って食べるとか、テーブルに肘をつかないとか、そんな私たちが毎日当たり前のようにしていることなんです。
目次
世界のテーブルマナー【国別:やっていいこと悪いこと】
国が変われば食文化が変わる。食文化が変わればテーブルマナーも変わる。世界中様々な料理が様々な作法で食べられています。
▽関連記事:世界の食事作法について▽

① 中国のテーブルマナー
中国圏に行ったことがある人や彼らと食事をしたことがある人であれば、「中国のテーブルマナー」なんて言葉を聞いたら、『彼らにそんなものあるのだろうか?』と思ってしまいます。
確かに中国人の多くは、食事中口に物を入れた状態で大きな声で喋ったり笑ったり、甲殻類を食べればその殻は口から直接テーブルにペッ!と出してしまう。
でもそれは日本人のマナーを基準にして考えた、「日本人の感覚」。彼らには『行儀悪いことをしている』なんて感覚はありません。
そしてそんな中国人にも、守らねばならないテーブルマナーがあります。
麺を切ってはいけない
中国の麺は、乾麺もたくさんありますが何と言っても人気なのは、生地を手で引っ張ってどんどん細く伸ばしていく『拉麺』。その手延べ麺は、仕上がるととても長い1本の麺になります。
中国では、「麺は長寿のシンボル」になっているので、長い麺をわざわざ切って食べるのは縁起が良くないとされています。
ピカピカに食べ終わってはいけない
中国人たちが集まって食事をした後のテーブルは、日本人からするとまさに大惨事。テーブルの料理は最後の一口分だけ中途半端に残され、食べた残骸は自分の取り皿からはみ出て直接テーブルやテーブルの下にも散乱。
彼らが出された料理を中途半端に残すのは、『美味しいものをお腹いっぱいいただきました!』と言う満足の合図なのだそう。むしろ完食してしまうと、おもてなししてくれた方に対して『足りないぞ、けち』と言っていることになります。
皿は持ち上げない
日本では器を持ち上げて食べるのがエチケットと言われますが、中国では逆。おかずやスープは大皿で出されるのが普通の中国。取り分ける時も取り皿はテーブルに置いたままで料理をすくって運びます。
日本のように取り皿に持った料理を手に持って直接口をつけてかきこんだりするのはマナー違反になりますので気をつけて。
② 韓国のテーブルマナー
おとなりの国、韓国でも食事のマナーはだいぶん違います。韓国の場合は年長者に敬意を表するものが多く、私たちも旅行に行った際など少し気をつけないといけないものもあります。
年長者ファースト
韓国では儒教の教えから、親も含めて全ての年長者に敬意を払わなければならない習慣があります。食事やお酒の席でもそれはきちんと守られています。
- お酒を飲む姿を見られてはいけない:年長者とは反対方向を向いて、口元を隠して飲む
- タバコを吸う姿も見られてはいけない:年長者の前では横柄な態度に見えるので、消す
- 年長者や家長が手をつけるまで食事には手をつけてはいけない
- 年長者にお酌をする時は、注ぐ手にもう片方の手を添えて
- 乾杯したお酒は必ず飲み干す
食べる姿勢は立膝OK
最近ではダイニングテーブルが主流になってきたのであまり見かけませんが、お店などに行くとまだまだ座卓のところもたくさんあります。
日本人の感覚だと女性が膝を立てて食事していたらちょっとびっくりしてしまいますが、韓国ではチマチョゴリがちょうど立膝に向いている衣装だったのと、立膝で座っている方がすぐに給仕できて良いという理由からそのような座り方が定着したのだそう。
器は持ち上げない
中国と同様に韓国でも料理を持った皿や器は持ち上げずに食べます。韓国の場合は箸の他に必ずスプーンも用意されていますので、スープなどはテーブルから直接スプーンですくって飲みます。
ここでも皿を持ち上げて食べるのはマナー違反なのだそうです。
③ 東南アジア(タイ・ベトナム・シンガポール)
では他のアジア諸国のテーブルマナーはどうでしょうか。ここでは私が実際に見聞きし、体験した3つの国を例にあげてご紹介しましょう。
これらの国はそれぞれお互いにご近所と言うこともあって、テーブルマナーや食事作法もほとんど同じです。
音は絶対立てない
最初に紹介した中国、韓国では比較的食事の時の音には無頓着で、麺やスープは音を立ててすするし、口に入れた料理はくちゃくちゃと音を立てて食べても嫌な顔をされません。
が、それ以外の地域では絶対に許されません。
- 麺類は、最初から短く切るか、長いものは箸やフォークですくったあと、スプーン/レンゲに乗せて口の中に入れる(すすらない)
- スープもすすらない(日本や韓国のように煮えたぎった状態のものは出されない)
フォークは口に入れない
これらの国々では、食事はスプーンとフォークを使うのが主流。
右手にスプーン、左手にフォークで、口に入れるのはスプーンのみです。左手のフォークはあくまでも補佐的な役割で、スプーンに料理をのせるためだけに使われます。
用意されている調味料は、全部足して完成
アジアの料理の面白いところは、それぞれ必ず調味料やチリ、ハーブなどが別でテーブルに用意されていること。
日本だと、出された料理にあれこれ味つけを加えたらイヤな顔をする店主がいたり、自分の味付けではまずかったのかと悲しくなる母親がいたりしますが、東南アジアの料理にはそんな繊細な心は入っていません。
醤油に砂糖に酢に唐辛子。全部足したらもはや出てきた時の原型をとどめてなくてもそれでOK。『全部入れ』が正解なのです。
まとめ
今回の記事では、比較的日本に近い国でありながら、そのテーブルマナーがまるっきり違う国々の様子をご紹介しました。
食事中の『音』だけ考えてみても、
- 日本はすすってOK、でも口に入れたらくちゃくちゃ言わせたり喋ったりするのはNG。
- 中国はすすってOK、くちゃくちゃしてもOK、喋っても飛ばしてもOK。
- 韓国はすすってOK、くちゃくちゃしてもOK。
- 東南アジア諸国では、すするのもNG、くちゃくちゃするのもNG。
ちなみに韓国では咀嚼音やすする音などを聞いて心地よく感じる『ASMR』動画がとても人気だったりして、むしろ音を立てて食べることが『美味しそうに食べている』ことにつながっていたりするので不思議なものです。
旅行に行く際は、ぜひその国や地域のテーブルマナーをきちんと理解して、現地の人に失礼にならないように気をつけたいものです。
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