在宅で仕事をしているのに子どもを学童に預けていることを『母親らしからぬ』ととがめる風潮のママ友とは付き合わなくてOKだと思っている、のりこです。
先日、以下の記事でシンガポールの働くママたちの子育て事情についてご紹介しました。
▽関連記事:働くシンガポールママと働けない日本人ママの子育て事情▽

国が変われば子育て観も変わる。
日本で常識と思っていることも、海外に出れば信じられない!とびっくりされてしまうことだってあります。
そして多民族国家シンガポールならではの文化の違いなども子育てには大きく反映されるもの。
目次
出産後の過ごし方【シンガポールと日本の違い】
日本では、赤ちゃんを抱っこ紐で抱っこして、荷物はリュックサックにいれて背中にくっつけ、さらに幼ない兄弟の手を引いたりベビーカーを押したりしながら、買い物の大きな袋を何個も手に持って歩くお母さん、よく見かけますよね。
特に年の近い子どもが多い家庭では、毎日がまさに戦争状態。母親の負担たるや想像を絶するものがあります。
そんなことがほぼ当たり前のように繰り広げられている日本の子育てとは裏腹に、
シンガポールでは、【子どもと荷物を抱えて歩いている】ような、いかにも大変そうな母親の姿を見ることはほとんどありません。
計画的な出産と無痛分娩が当たり前のシンガポール
そもそも産休自体が4ヶ月と超短く、出産してもすぐにフルタイムの仕事に復帰してバリバリ働くシンガポールママたち。そんなスピーディーな社会復帰を可能にしているのが、日本とはまったく違う出産スタイルです。
実際に私のシンガポール人の友人もすでに何人か出産を経験していて、その時の様子を教えてくれるのですが、
彼女たちはいつも、『〇〇日に産まれるよ〜』と日付指定で出産日を連絡してくるのです。
もちろんそれよりも前に陣痛や破水があった場合は早まることもありますが、基本的にシンガポールの出産は、陣痛促進剤を使って計画的に行うことが多いのだそうです。
しかもシンガポールは無痛分娩が主流。もちろん出産後の傷口の痛みや子宮が戻る痛みなどは経験しますが、日本人のように自然分娩で『人生最大の壮絶な痛み』を経験することはありません。
ちなみに私の友人の場合は、テレビを見たり、看護師さんとおしゃべりしながら数回プッシュして出産完了したそうです。
無痛分娩は自然分娩と比べると母親の体への負担が少なくて済むため、回復も速いのだそう。
日本の産後の過ごし方
多くの家庭では、出産後のママたちは1ヶ月間は水を触ってはいけないと言われ、実家や義両親の家でしっかり休ませてもらえます。
また赤ちゃんについても、外気に触れさせたり、外出に連れて行って良いのは1ヶ月検診が終わってからと言われていて、あまりにも生まれたてホヤホヤの赤ちゃんを連れて歩いたりすると、周囲のおばちゃんたちから『こんなまだ生まれたばかりの子を連れ回して!!』と怒られたりもします。
シンガポールの産後の過ごし方
シンガポールでは出産後、体の回復を待って仕事に復帰する人がほとんどんなので、みんな出産前から誰が生まれた子どもの面倒を見るのか、しっかり決めておきます。
- 親世代が面倒をみる(孫育てをしてもらう)
- メイドさんを雇う(完全住み込みの外国人がほとんど)
選択肢は概ねこの2つ。
『母親が仕事を休職して子育てをする』というチョイスはありません。
なのでシンガポールママたちは、子どもが生まれたその日から親かメイドさんに子どもを預けて、自分は休養や仕事復帰への準備にしっかり時間を取れるのです。
生後3ヶ月で夫婦でリフレッシュ旅行
そして彼らの多くは、出産後に『リフレッシュ旅行』や『新婚旅行』と称して、生まれたばかりの子どもを親に預けて夫婦二人だけで海外旅行に行ったりします。
妊娠中にできなかったことを二人で思いきりするらしいのですが、日本でそれをやったらおそらく周囲から『ひとでなし』レベルのレッテルを貼られること間違いなしです。
多民族国家シンガポールではいたって普通の習慣
多民族国家であるシンガポールには、主に中国人、マレー人、インド人、ユーラシアンという4つの民族が仲良く暮らしています。
彼らは一歩家を出れば『シンガポール人』として共通の言語(公用語は英語)を話し、人種の隔たりなく友達になって一緒に遊んでいますが、家の中ではそれぞれのルーツの習慣がきちんと受け継がれています。
出産後1ヶ月は風呂もシャワーもNG
中国の文化では、出産後1ヶ月間はお風呂もシャワーもNGという風習があります。
あんな暑い国で、1ヶ月も体を洗えないなんて!そんなバカな(゚o゚;;
と思いますが、本当のこと。
特に高齢のおばあちゃんがいる家庭ではまだその風習が続けられていて、その理由は『産後のデリケートな時期をどう過ごすかでその後のママの体質が変わる』のと、『水に触れて体を冷やすのは非常に良くない』というもの。
実際に私の友人は『出産後1ヶ月間は体はタオルで拭くだけになるから』と言って、出産する前に長かった髪をバッサリとショートに切って産後の1ヶ月間をやり過ごしていました。
男女問わず一旦丸坊主
これはアジアの他の国でもやっているところがあるようですが、シンガポールでは1歳になると男の子も女の子もみんな一度丸坊主にされます。
そうすることで健康で黒々とした立派な髪質になると言われています。
この頃の赤ちゃんに出会うと男の子か女の子か見分けがつきにくく困ってしまいます。が、この文化のおかげかどうかはわかりませんが、確かにシンガポール人の髪はみんな黒々と丈夫そうなバリっとした直毛の人が多いように思います。
インド人一家は煙もくもくでお祈り
ヒンズー教のインド人の家庭では、家の中に必ず祭壇があり、様々な行事や儀式の時にはお供え物や火を焚いて祈ります。
赤ちゃんが生まれた家庭では、その子の名前を決めるセレモニーが行われ、親戚や友人たちも集まって赤ちゃんの健康や幸福を一緒にお祈りします。
のりこ
妊婦・赤ちゃん連れにとにかく優しいシンガポール
日本では公共の交通機関で妊婦さんや子連れママさんが蹴られたり嫌な顔をされたり、ベビーカーをたためと怒られたり、席を譲ってもらえなかったり、子どもがグズればあからさまに迷惑がられたり、とにかく『生きづらい』ことが多く、ママたちは出歩くことすら躊躇してしまうような残念な状況です。
その一方で、シンガポールで子育てをした日本人ママが共通して口々にいうことがあります。それは、
シンガポール人は、子どもと子連れママに優しい!\(^o^)/
ということ。
そもそもシンガポール人ママたちは、自分の子どもを連れて街中を歩いたり公共の交通機関を利用することがとても少ないので(親やメイドさんに預けているので)、シンガポール人全体的に『子どもと荷物を抱えて必死で歩いている母親』を見ると『大変な苦労をしている』という印象を受けるのだそうです。
人によっては『なぜ保育園に入れないの?』と不思議に思って聞かれることもあるそう。
① 電車・バスなどの公共交通機関
シンガポールでは、子連れママが赤ちゃんや小さな子どもを連れて地下鉄やバスに乗ると、混んだ車内では必ずと言っていいほど席を譲ってくれます。
ベビーカーは、たたもうがたたむまいが白い目で見られるなんてことはありませんし、赤ちゃんが起きていればみんな笑顔を向けてあやしてくれたりもします。
先日7歳の子どもを連れてシンガポールに行った時には、『ぼくは何歳?』と優しく声をかけてもらえたり、わざわざ『ちょっと待ってて!』とお菓子やおもちゃを近くのお店で買ってきてくれる人までいました。
のりこ
② レストランやカフェ
飲食店もしかり。シンガポールのほとんどのレストランやカフェは子連れOKです。また高級なレストランでは家族づれは必ず個室に通してくれます。
レストランでもカフェでも、もちろん最低限のマナーは必要ですが、例えば赤ちゃんが多少ぐずったところで誰も嫌な顔はしませんし、もし子どもがじっとしていられなくなったら、シンガポール人ファミリーの場合はすぐにメイドさんが違う場所に連れ出して遊んでいてくれるので問題にはならないのです。
のりこ
まとめ
今回の記事では、シンガポールの出産事情と、その後の子育ての様子についてご紹介しました。
多民族国家のシンガポール、それぞれの文化や慣習は出産後の過ごし方も様々。中には日本人にはちょっと信じられないようなことや、『非常識』と感じてしまうようなことでも、彼らの中ではそれが当然のことなのです。
基本的に生まれた時からわりと【人まかせ】なシンガポールの子育て事情。それでも子連れで街を歩けば、周囲の人々は日本人よりよっぽど優しい。
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日本では、『母親はこうあるべき』という考えが、今でも根強く残っているように思います。
もしまわりに、
- ネイルサロンに行って指先まで綺麗に手入れが行き届いている母親
- ハイヒールを履いている母親
- バッチリ化粧したり 髪色が明るい母親
こんな母親がいたら、『あの人はちゃんと子育てしていないに違いない』という勝手なイメージや思い込みを持ちやすいのが日本人です。
なぜなら、「長い爪は子育てには向いていない」などの物理的な利便性もさることながら、日本人の妻たちは昔から慎ましく控えめで華美でないことが美徳とされて来たから。
その昔、私の母親が真っ赤なマニキュアをしている派手なお母さんを見て、『あんな爪でどうやって子どもを抱っこするっていうの』とプンプン怒っていたのを鮮明に覚えています。
公共の交通機関で意地悪をする日本人たち。きっと心の底では、『赤ん坊がいる母親なら、うろちょろ出歩いたりしてないで家にいろよ』という思いがあるから、そういう態度に出るのではないかと思います。
いまだにどこかそんな古臭い考えが横行している日本と、子どもが生まれてもわりとドライに人を頼って自分の自由は確保するシンガポール。
もし私に選択肢があったとしたら、シンガポールで出産・育児もしてみたかったな、と思ってしまうのです。
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