シンガポールに住んでいた7年の間に、シンガポール人の同僚や友人の口から『フォンシュイ』という言葉を200万回くらい聞いていた、のりこです。
『フォンシュイ』とは『風水』のこと。
国民の約7割が中国人というシンガポールでは、その中国の歴史ある文化の一つでもある『風水』をびっくりするほど重んじていて、個人の日常生活から起業家のビジネス展開、果てにはシンガポールという国全体を作る時まで、
なにはともあれまず『風水』
的な感じで風水師の意見を取り入れているのです。
目次
風水師が留学したいと思う国、シンガポール
そんな国自体が『風水』に則って作られているシンガポールは、世界の風水師たちが留学したいと思うほど、その界隈では有名な「風水大国」なのだそう。
それもそのはず、シンガポールはまだ国ができてから50年そこそこととっても若い国。
もともとはジャングルと小さな漁村くらいしかなかったマレーシアの先っちょの島を、建国の父と呼ばれる中国人Lee Kwan Yewが開発させたのが今のシンガポール。
その彼がシンガポールを開発する時には、風水師の意見を大いに取り入れて「国全体に富と繁栄がもたらされる」ようにデザインされたのだそう。
なので、シンガポールはその全体が『風水の街』というわけ。
シンガポールの発展と『風水』のリアル
そんなシンガポールでは、『風水』が国の政治経済にまで取り入れるくらい、その国や人の運命を左右するものとして認識されています。
① マーライオン

1993年のマーライオン(私が撮影)
ひと昔前までは『世界三大ガッカリ名所』なんて呼ばれていたほどショボかったマーライオン。でも今はその頃と全然印象が違いますよね?
もともとはすごい地味な場所にちんまりと設置されていて、設備の不具合からほとんど『水を吐く』ことができなくなっていました。(ToT)
しまいには有料ハイウェイの開発で、『海を見るように』建てられたはずのマーライオンの視界は巨大な橋で遮られ、いよいよガッカリ感が増していました。
そんな中1997年に起きた『アジア通貨危機』でシンガポールも経済的に危機的状況になり、その時に風水師から
マーライオンの力が、橋(道路)に遮られて弱まっている。
とのアドバイスを受けるのです。

現在のマーライオン
風水的にはマーライオンは『水』、道路の橋は『火』とされていて、『火』に『水』は勝てないのだとか。
シンガポールはそんな風水師の意見を取り入れて、2002年に現在の場所に東を向くように移動したんだそうです。
「東」は「繁栄」、そしてマーライオンが吐いている「水」は「富(お金)」を表し、この二つが取り入れられたことで、このマーライオン移設後、シンガポール経済は見事に復活を遂げたのです。
② 高層ビルに『龍の通り道』
シンガポールの街を歩いていると、立ち並ぶ高層ビルやコンドミニアムのど真ん中に、風穴みたいなのが開いているのをよく目にします。
私が働いていたビル(上の写真)も37階建で港に面していたのですが、ド真ん中には穴があいていました。
これは『龍の通り道』で、幸運のシンボルである龍が滞ることなく通れることで運気が上がるようにできているのだそうです。
のりこ
③ シンガポールの1ドル硬貨は【お守り】です
シンガポールの地下鉄の建設工事が進められているときに、風水師から
『地下鉄の線路が”龍脈”を分断する!国に悪いことが起こるぞ』!(◎_◎;)
と本気で警告されたのだそうです。”龍脈”とは風水でとても重要な『エネルギーの流れ』のこと。
このまま地下鉄を作ったら国に災難が起こる。でももう工事は止められない。
そこで、国民全員が【八掛鏡】と呼ばれる8角形のお守りを家に置けば災難から守られるとのアドバイスを受けて、シンガポール政府は1987年9月にコインの内側に8角形を取り入れた1ドル硬貨を作ったのだそうです。
そして1987年11月に無事、シンガポールの地下鉄【MRT】は開通しました。
④ 巨大観覧車の回転方向も風水で変更
2008年に完成した巨大観覧車、『シンガポールフライヤー』。
これもまた『風水的』に最高の場所に建てられ、【良い運気をすくい上げてシンガポールに繁栄をもたらす】ように作られたのだそうです。
でもこの観覧車、私がシンガポールにいる時に完成したのですが、開業わずか3ヶ月くらいで改装のため休業になったんですよね。で、その理由が、
観覧車の回転方向を変えるため (´⊙ω⊙`)
だったんです。最初は反時計回りだったそうなのですが、それだと『街の良い運気が全部海の方に流れてしまう』という風水師のアドバイスを受けて、わざわざあんな大きなものを、莫大なお金をかけて時計回りに変更したのだそうです。
私はオープンして間もなく乗ったので、今となっては貴重な『反時計回り』を体験したわけなんですね。当時は全然そんな事情は知りませんでしたけど。
⑤ 高島屋シンガポール(ニーアンシティ)は【お墓】の形
シンガポールのメインショッピング街、オーチャードロードにデーンとそびえ立つ『高島屋』。
もともとは今とは全然違うたたずまいだったそうなのですが、ずっと謎の業績不振が続いていたのだそうです。
そしてこれも風水師に診てもらったところ、その土地は大昔『中国人墓地』だったことから土地全体にいわくがついているとの鑑定。
そして全面的に建て替えをして、建物を『お墓』の形にしてその土地の鎮魂をしたのだそうです。それが功を奏してか、業績は順調に回復したのだとか。
確かに、建物の材質も墓石っぽいんですよね。
シンガポール人の暮らしにも密着した『風水』
意識しなければ全く気付きませんが、実は『風水』にちなんだものだらけの街、シンガポール。
そしてそこに暮らす人たちもまた、いろんな場面で風水を取り入れ、守り続けています。それはもう生活や行事に密接に関わっていて、
- 引っ越しするとき
- 旅行に行くとき
- エアコン設置
- 旧正月などのイベント
などなど、あらゆる場面で細かい決まりがあります。
また、『運気を上げる』『幸運をもたらす』ためならどんな努力も惜しまない彼らは、時々自分の名前まで風水によって変えてしまうことも。
節目節目で自分の名前を変える
実際に私のシンガポール人の友人にも数人いたのですが、中国系シンガポール人のほとんどは、中国名と英語名のどちらも持っていて、普段は英語名で呼びあっています。
中国名の方は親から名付けられて届出もされているので変更できませんが、英語名については自分で決めても家族が決めてもOKな『ニックネーム』的な扱いでしかないので、
- 何か人生の節目になるようなことがあったり、
- 職場が変わったりすると、
風水に則って『もっとラッキーな英語名』に変えてしまう人がけっこういるんです。
そして社会もそれをわりとすんなり受け入れていて、
『今日から私はジャスミンなんで、ヨロシク』みたいな感じの自己申告が入ると、
そこから周りの人はなんの【照れ】も【戸惑い】もなく、ちゃんと『ジャスミン』と呼び始めるんです。
まとめ:風水大国シンガポールは国全体がパワースポット
日本でも家具の位置とかお財布の色とかを決める時に『風水』は少なからず参考にされていますよね。
せっかく人間としてこの世に生まれてきたんだもの、同じ人生の時間を過ごすなら、貧乏で苦労ばかりで生きるより、いつもラッキーで幸せなことばっかり起きまくる人生の方が良いに決まってます。
そんな『ハッピー』とか『ラッキー』とかに日本人よりはるかに敏感で貪欲なのがこの『風水』を重んじるシンガポールの中国人文化。
でも実際に、『風水』の教えに従って改善を重ねた成果が今現在のシンガポールの発展なのだとすれば、それはもはや【信じる・信じない】の次元ではなく、立派な『判断の拠り所』として機能しているってことですよね。
今回ご紹介したほかにも、シンガポールにはたくさんの『風水スポット』があります。
一見ただの成金主義的なオブジェや、無駄に派手な噴水など、至るところにあるものが、実はすべて風水的に財や運をもたらすものだったりするので、
シンガポールはその国中にパワースポットがあると言っても過言ではありません。
ぜひシンガポールに行く際には、こんな風水的な要素が街中に溢れていることを知った上でパワースポット巡りをしてみるのも面白いかもしれません。
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