シンガポールのホテルで、ゲストリレーションズマネージャー(Guest Relations Manager)を3年間やっていました、のりこです。
今回は、そんな海外のホテルで働く日本人スタッフたちの具体的な仕事内容や、その生態などを詳しくご紹介したいと思います。
目次
海外のホテルで必要とされる日本人とは
海外のホテルで働く日本人スタッフには大きく分けて2種類の人種が存在します。
① 経験と語学力は必須、マネージャークラス
平たく言うならば、
マネージャーなった人がたまたま日本人だった
と言うケース。つまりは日本人に特化した業務ではなくローカルと同じようにホテルのマネージャー業務全般をこなす人です。
この場合は、業務内容が『日本人の対応オンリー』ではないので、最低限のコミュニケーションやお客様からのクレームなどにも適切に対応できるレベルの語学力は必要で、通常は数年のホテルでの勤務経験を経てマネージャーになります。
② 特定の需要にピンポイントで対応、日本人対応スタッフ
ホテルによっては日本人観光客や団体のツアー客の利用率がめちゃめちゃ高いところもあり、そういうホテルでは日本人のお客様の対応専門の日本人スタッフがいる場合があります。
このケースはあくまでも日本人のお客様からの要望やクレーム、相談などを受けるのがメインの業務になるので、通常は一般的なホテルの業務をすることはありません。
また日本人専門なので、礼節正しく丁寧な対応がきちんとできるのであれば、語学力もそれほど高くなくてOKというのも特徴です。
ちなみに私は前者①の『マネージャークラス』の仕事に就いたのですが、
- 語学力は中の下レベル
- ホテルでの勤務経験ゼロ
の状態でいきなりマネージャーになると言うわりとレアなケースだったので、
それはそれで、最初からとっても大変でした ( ;´Д`)
ゲストリレーションズマネージャーの主なお仕事
① VIP、常連客、特別ニーズのあるお客様のお世話全般
ゲストリレーションズマネージャーの一番の仕事は、『ホテルの顔』になるということ。
VIPや常連客にはどんどん顔を覚えてもらい、滞在中により楽しく過ごせるようにサービスやアメニティなどに工夫をします。
そしてまた次回もこのホテルに泊まりたいと思ってもらえるように、そのお客様の『好み』は全部ハウスキーピングに記録しておいてもらって、データとして残しておきます。
② エグゼクティブクラブラウンジの運営
どのホテルにも高層階には『エグゼクティブクラブフロア』と呼ばれる、飛行機で言うならビジネスクラスのような、選ばれし旅行者だけが滞在できるフロアがあるのをご存知ですか?
ホテルによっては、エグゼクティブクラブラウンジは別のマネージャーが管理しているところもありますが、私がいたホテルではゲストリレーションズマネージャーがラウンジとそのスタッフも全て管理していました。
ラウンジでは、朝食や夕方のカクテルを提供する他にも、エグゼクティブフロアに滞在中のお客様のコンシェルジュ的な役割としてなんでもお手伝いをします。
③ フロントスタッフの教育
接客の基本からヘアメイクに到るまで、風紀委員長みたいにチェックしたり指導したりします。
④ プログラム運営・マニュアル作成
リピートゲスト(常連客)や長期滞在客などに『特別感』を与えるアメニティの工夫や新しいアイディアを立案して運営。それを書面にしてマニュアルを作成します。
⑤ 重要なクライアントの接待
これは通常営業部門の人がすることなのですが、私が働いていたホテルでは、日本人は私一人だけだったので、日系企業の営業やキーパーソンの接待には必ず私が同行していました。
ゲストリレーションズマネージャーの典型的な1日
ゲストリレーションズマネージャーは大変、でも最高

ゲストリレーションズマネージャー時代(左が私)、クラブラウンジの仲間たちと
ホテルのゲストリレーションズマネージャーの仕事や典型的な1日の流れについてご紹介してきましたが、見てわかるように、けっこうな長時間労働。正直なところなかなかの体力が必要でした。
なおかつシンガポール人はしょっちゅう休む。(;´д`)
▽関連記事:シンガポール人がしょっちゅう休むワケ▽

そして、ホテルの経験一切なしで日本からやってきて急にマネージャーになった私にとって、何よりも大変だったのが、
ローカルスタッフ(シンガポール人)のトレーニング (´・ω・lll)
でした。
なにせこちとら英語さえおぼつかないってのに、よりによって
【口だけ達者で与えられた仕事以外は1秒たりともしたくない精神】
のシンガポール人をまとめるなんて、
苦行か! ヽ(´▽`)/
ってくらい大変なことでした。当時の彼らはどんなだったかというと、
- ちょっと油断するとすぐに『すっぴんメガネ』で出勤してきたり、
- 笑顔は一瞬たりとも見せず終始仏頂ヅラだったり、
- カチンとくるお客様がいたら喧嘩腰になったり
とまぁこんな感じで、とに書き『接客業』にはちっとも向いてなさそうな人たちばかりの集まりでした。
なので、とっても苦労しました。毎日どうしたらこのシンガポール人たちとうまく付き合っていけるのか必死で模索していました。
でもその苦労のおかげで、日本で普通に働いていたら絶対に手に入れられないであろう貴重なものを、たくさん手に入れることができたんです。
- 爆発的な英語力の進歩(シングリッシュになっちゃったけど)
- 強靭な精神力(強くないとローカルスタッフはまとめられない)
- VIP(超金持ちやセレブ、有名企業の重役など)との出会い
- シンガポール人の仲間(今でも友人)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事では、海外のホテルに転職して、突然マネージャーになってしまったいたいけな日本人女性の生活の様子をお届けしました。
海外転職を考えている人
という疑問に正直にお答えするならば、
のりこ
という感じです。
とつぜん飛び込んだ海外のホテル業界、苦労もたくさんしましたし、長時間労働に加えて週休1日という鬼のようなスケジュールで毎日忙しくしていたわけですから、決して『楽チン♫』ではありませんでした。
でもどんな仕事でも多少の苦労はつきもの。そして、
自分の実力よりもかなり背伸びをしなければいけない状況に追い込まれたことで、英語力やマネージメント力、そして何かあっても『なんとかする力』が格段に伸びたことは言うまでもありません。
なので、もし今、海外のホテルに転職して新しいことにチャレンジしてみようかなと考えている人がいたら、私は躊躇なく、『とにかくやってみる!』ことを自信を持っておすすめしたいと思います。
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