シンガポールの【洗濯物の干し方】について徹底的に解説します|窓から突き出ている?シンガポールの物干し事情

シンガポールや香港など、アジアの大都会における住宅街の風物詩に、

高層マンションの窓のあたりからニョキニョキと長い棒が突き出ていて、まるで旗でもはためいているように無数の洗濯物が干されている

という光景がありますよね。

これはシンガポールの公営住宅HDBには必ず設置されている物干しのシステム。

シンガポールに住んでいた7年間ずっとHDBで暮らしていた私も、実はこの不思議な物干しのお世話になってきた人間の一人です。

それにしてもあの洗濯物の干し方、生活の便利グッズが安価で揃う日本人からすると、

日本人

あまり量も干せなさそうだし、あんな長い棒を振り回して危ないし、、 もっとマシな方法、ないの?

と言いたくなるかもしれません。

事実、シンガポールでは長年にわたってこの洗濯物の干し方について、様々な問題が指摘され、議論され続けているんです。

本記事では、そんなシンガポールの庶民の生活の風物詩となっている、あのユニークな物干し事情について詳しく解説したいと思います。

この記事はこんな人におすすめ
  • シンガポールのあの変な洗濯物の干し方の仕組みを知りたい
  • シンガポールに住む人全員があの干し方をしないといけないのか疑問
  • 今後もあのスタイルの干し方は続いていくのか、それとも「古き良きシンガポール」として廃れつつある文化なのか知りたい

シンガポールの物干し事情、今むかし

シンガポールの住宅街と言ったら、こんな感じの風景が頭に浮かんできますよね。何を隠そうこの私も、こんな感じのところにずっと住んでいました。

シンガポールにはいくつかの居住スタイルがあって、このタイプはシンガポール人の大多数(約80%)が暮らしていると言われる公営住宅、通称HDBです。

▽関連記事:シンガポールの住居の種類について▽

シンガポールで家探し【シンガポールの住居の種類と相場】

老朽化するHDBでより多く見られる物干しスタイル

シンガポールは、その国自体ができ上がってからまだ50年そこそこという若い国。

国内に建つHDBの多くはシンガポールの成長とともにどんどん改装や改築がされて、順次住みよい状態にされているのですが、中にはシンガポール建国の時に整備されたものがまだ現役で使われているところもあります。

国が若いとはいえ、さすがに築40年越えとなるとその建物の老朽化が問題視され始めているんです。

そして上記の写真のような物干しスタイルも、『よくみる風物詩』から『古いHDBに多く見られる光景』へと移り変わりつつあります。

HDBに住む人

現在では古いHDBは順次取り壊されて、どんどん新しいものに建て替えられています。それとともに洗濯物の干し方も、少しずつ便利に、安全に変わってきているんですよ。

シンガポールの洗濯物、あれはどうやって干されている?

そもそもこの「物干し竿がHDBの窓から垂直に飛び出ている状態」、一体どういう仕組みになっているのだろうと不思議に思ったことはありませんか?

私も実際にHDBに暮らし始めた時に直接自分の家のものを見て、

なるほど〜 こうなっていたのか!(´⊙ω⊙`)

と妙に納得したのを覚えています。

HDBの物干しは、『一本釣り』方式

仕組みはとても簡単。各家の窓の下には平均4〜5個のソケット(パイプを埋め込んだ穴)が備え付けてあって、洗濯物をかけた長い竹の棒を

マグロの一本釣り( • ̀ω•́  )✧

のように家の中からオリャーッと出して竿の根元部分を壁のソケットに差し込むというもの。

シンガポールのHDBは、建物のすべてが分厚いコンクリート製。ソケット部分も直接そのコンクリート壁に深々と穴がほってあるので、一旦差し込んだ物干し竿はそう簡単に抜けおちることはありません。(例外あり。それについては後述します)

のりこ

このソケットには必ずゴム製のキャップがついていて、物干しを利用しないときは必ずこのキャップをかぶせておきます。そうしないと雨が入ってボウフラの原因になったり(←罰金刑)、ゴミが詰まったりするんです。

一本釣りスタイルは力仕事

長い竹製の物干し竿に、何枚もの洗濯物がかけられている様子を見ているだけでも、

これってけっこう重いだろうな σ(^_^;)

と容易に想像できますよね。

実際に私も約7年間このタイプのHDBとおつきあいしてきましたのでよくわかるのですが、

これ、めちゃくちゃ重いです。

服や肌着だけならまだしも、ベッドシーツやタオルケットなんて干した日には、重すぎて棒を持ち上げるだけでも一苦労です。

そして物干し竿もやけに長いので(約2メートルくらい)干す時には

「軽いものは棒の先端付近に、重いものは根元付近に」

などとちょっとした工夫をしながらかけるのが鉄則なのです。さもないと物干し竿ごと下に落としてしまう危険性が。

シンガポールの洗濯物の干し方の問題点

ぶっちゃけておきますと、このHDBでの物干しスタイルは問題点だらけなんです

これからその問題点についてご紹介していきますが、問題がありながらもこれまで約40年間もほぼ変わらずにきたその理由は、HDBの特徴的な「作り」に原因があると言われています。

私が住んでいたHDB。一番奥の窓から洗濯物を突き出すスタイルでした。

  • バルコニーがない
  • 通路は狭くて日当たりが悪い
  • 共用部分では景観を損ねるので洗濯物はNG
  • 家の中に洗濯物を干せる場所がない

言わばシンガポールのHDBは、洗濯物は外に突き出して干すことを前提に作られているようなものなんです。

とにかく危険。命を落とす人も

何と言ってもこの物干しスタイルの一番の問題点は、『危ない』ということ。

シンガポールのHDBは、高層階になっても「窓を開けたら直で外」なんです。

そこには可愛らしい植木鉢でもおけそうなスペースもなく、出窓にもなっておらず、下を見下ろせばすぐにコンクリートの床。落下防止や防犯のためにグリルと呼ばれる『鉄柵』をつけている家がとても多いのですが、それをつけるかつけないかの判断も、各家庭に任せられています。

落下事故が絶えないシンガポール
シンガポールのHDBは本当に作りが危険。

グリル(鉄柵)がついているので普段は落下の心配はありませんが、洗濯物を干す時にはすべて全開にしないと物干し竿が出せません。

濡れた洗濯物でかなりの重さになっている竿を高層階の窓から全体重で支えて出すのですから、少しバランスを崩しただけでも地上に真っ逆さまです。

シンガポールではこの洗濯物を干す時に転落するという事故が本当に頻繁に起きています。

またこの建物の作りから、窓掃除のために身を乗り出したメイドさんが落下したり、グリルをちょっと開けたすきに飼い猫が落下したりと、悲しすぎる事故が絶えないのです。

雨風に弱く、すぐに飛ばされる

そしてこの物干しスタイル、見ればすぐにわかると思いますが、風が強い日には干しているシーツや洋服がまるでヨットの帆のように風を全面で受け止めてしまいます。

これによって、深く頑丈に作られたはずのソケットにしっかり竿が収まっていたとしても、洗濯物は竿もろとも全部吹き飛ばされてしまう、ということが多発しています。

洗濯物が飛ばされた人

自分の洗濯物が飛んで行ってなくなってしまうのは仕方ないとしても、問題なのはその飛んだ洗濯物と竿が、通行人に当たったり、車にぶつかったりして事故につながってしまうという重大な事件になりかねないことなんです。ただの洗濯物でも、時として周囲の人には凶器になる場合も。

近隣とのトラブルに発展することも

ソケットをこんな風に使うのはNG。シンガポール政府も改善を呼びかけています。

またこの物干しスタイルは、近隣トラブルとも直結しています。

実はこれは私も経験したこと。私が住んでいたのは10階建のHDBの7階だったのですが、上の階の人が

物干しソケットにきったねぇモップをびちゃびちゃの状態で干すんです。( ゚∀゚)

おそらく上階の人は、床掃除が終わったモップを自分の家の中には置きたくなかったのでしょうが、さすがにその汚い水が階下にポタポタとおちるわけですから、下の人はたまったもんじゃありません。

しかも下の人がそこに洗濯物を干していたとすれば、その洗濯物が汚れてしまうことに。

のりこ

私も一度だけ、干していたシーツが風で飛ばされてしまい2階の人の物干し竿に引っかかるということがありました。放っておくわけにもいかないので、下まで謝りに行って、シーツを取らせてもらいました。

シンガポールの洗濯物の干し方の今後

さて、そんな問題だらけのシンガポールの物干し事情ですが、もちろん上記のような深刻な問題をいくつも抱えながら、何も手立てを講じないでいるわけではありません。

進化しつつある物干し事情

物干し改善係

安心してください!シンガポールの物干し事情は、年々新しく便利になっています!

私がシンガポールに住んでいる間にも、その物干し事情はだいぶん進化しました。

二番目に借りたHDB。窓の近くに緑の物干し竿が見えますか?室内干しできるラックができました。

この写真でもわかるように、私の二番目に借りたHDBでは部屋干しができるように、家の中に物干し竿をかけるラックができました。(窓の外にはまだ突き出しタイプのソケットも残っています)

また、シンガポール政府による安全性の向上や落下物防止の取り組みから、こんな感じ(↓)の『物干し竿受け』のラックが取り付けられたところも増えました。

そして私が3軒目のHDBを借りる頃には、住人が一本釣りスタイルで洗濯物を外に出すなんてことはしなくても良くなりました。

HDBのオーナーさんがこのタイプ(↓)の物干しラックを取り付けてくれたのです。

これはどうなっているかというと、家の中の天井に物干し竿が設置されていて、洗濯物をかけ終わったらそれをラックごと窓の外に押し出すという仕組みです。

写真:My Digital Lock (http://www.mydigitallock.com.sg)より

これなら人間が命がけで洗濯物を外に出す必要はないのです。

(ただしこのタイプは干している間ずっとグリルが空いている状態になるので、ペットや子どもがいる家庭は注意が必要です。。)

まとめ

いかがでしたでしょうか。窓から突き出した謎の洗濯物の数々。そんなシンガポールの風物詩的な光景も、実はたくさんの問題点を抱えて、年月とともに改善されつつあります。

また外国人や富裕層のシンガポール人は、「コンドミニアム」と呼ばれるプライベートマンションに住むことが多く、そこでは家の一角に必ず『ランドリールーム』という気の利いたスペースが設けられているので、上記で紹介したような問題はありません。

今後どんどんシンガポールの発展が進むにつれて、この『突き出し式』の物干しスタイルも、徐々に姿を見られなくなっていくのかもしれませんね。

ぜひシンガポールを訪れた際には、住宅街の洗濯物がどんな風に干されているか見てみてください。

ソケットの感じからそのHDBがどれくらい古いものかがわかるようになったり、そこに住む人々の生活の様子が垣間見れたりして、ちょっと違った角度からシンガポールを楽しめたりしますよ。

▽こちらの記事も読まれています▽
シンガポールの穴場スポット【イーストコースト】を制覇する5つの極秘プラン|物価の高いシンガポールを安く楽しむ方法 シンガポールのソウルフード肉骨茶(バクテー)とは?|バクテーの歴史から美味しい食べ方まで やみつき必至!シンガポールで愛され続けるポークジャーキー【バクワ】のすべて

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です