こんにちはのりこです。
本記事では、このブログでは初めて【映画の感想】を書いています!!
小学生時代に読書感想文書を書くのがあまりにも苦手で、そのトラウマからこれまで書評や映画のレビューには近づかないようにしていたのですが、
今回、私の第二の故郷シンガポールと日本をつなぐ、鬼すばらしい映画に出会ってしまった途端にもう書かずにはいられない気分でいっぱいなので、とにかく書いてみることにしました。
この映画のタイトルは『家族のレシピ』。
日本とシンガポール、フランスの3ヶ国が共同制作した映画です。
私がこの映画のことを知ったのは、ウィーンに住む友人から
と言われたのがきっかけです。
実はこの作品、なぜか日本では驚くほど話題にならず、斎藤工さんや松田聖子さん、伊原剛士さんに別所哲也さんとけっこうビッグなメンバーがぞろりと出演しているにもかかわらず、私は海外に住む友人に教えられるまで、その存在をまったく知りませんでした。
そしてそこから映画情報を調べたところ、もう映画公開はすっかり終わっているという事実が発覚。ならばDVDが出るのを待とうと公式サイトをしょっちゅうのぞいていたのですが、発売日の1ヶ月ほど前にやっと『DVD出まーす、予約できまーす』と言うお知らせが出ました。
ま、予約しなくてもお店で買えばいいかな?
と思っていた私だったのですが、DVD発売日になってもこの『家族のレシピ』はどこの店頭にも並ばず、レンタルにもならず、待ち望んでいたにも関わらずなかなか手に入らない状態が続いていました。
そして今回、公式サイトから正規にDVDを入手してやっと見ることができたので、本記事では日本とシンガポールを舞台にしたこの『家族のレシピ』についての感想をお伝えしたいと思います。
(後半でややネタバレがあります)
目次
作品情報
原題:Ramen Teh(ラーメン・テー)
2017年制作・2019年劇場公開
シンガポール・日本・フランス合作
本編:89分
監督:エリック・クー
出演:斎藤工、マーク・リー、ジネット・アウ、伊原剛志、別所哲也、ビートリス・チャン、松田聖子
原題の『ラーメン・テー』というのは、日本のラーメンと、シンガポールのソウルフードと言われ本作品でもストーリーの中核になっているローカルフード【バクテー】を合わせた言葉。
父親が営む高崎のラーメン屋を手伝う斎藤工さんが、シンガポール人だった亡き母との思い出の味【バクテー】を融合させちゃうって言う設定でできたものです。
こちらが予告編。
ちなみに【バクテー】がどんなものかをまとめた記事もありますのでこちらもあわせてどうぞ。
シンガポールのソウルフード肉骨茶(バクテー)とは?|バクテーの歴史から美味しい食べ方まで
\バクテーはお家で簡単に再現できます/
この映画の見どころ
シンガポールのおいしいものがたくさん見られる
『家族のレシピ』では、バクテーと言うシンガポールの郷土料理を軸として物語が展開するのですが、この映画の魅力はバクテー以外にも様々なシンガポールフードが紹介されているところ。
現地在住のフードブロガー役の松田聖子さんが、シンガポールを訪れる斎藤工さんにシンガポールフードの特徴や歴史などを丁寧に説明するのですが、そこに出てくるお店は本当に実在する有名なお店だったりして、昔住んでいた人にとっては、「あーあそこか!』ととても身近に感じられました。
ただしほとんどがセットでの撮影だったようなので、実際のお店の雰囲気とはちょっと違っていました。それでも十分、思い出深いたくさんの料理を見ることができて嬉しくなりました。
あくまでも庶民的シンガポールの暮らしが垣間見れる
シンガポールを舞台にした映画の中でもかなり有名になったものに『クレイジーリッチ!』がありましたよね。
クレイジーリッチはシンガポールのきらびやかな富裕層の生活をさらに極端に色付けして描いた作品でしたが、この『家族のレシピ』はまるでそれとは真逆のスタンスを行くような映画です。
映画の中で見られるのは、古き良きオールドシンガポールの庶民の生活の様子。
今でも実際にシンガポールに行くと所々に見られる、貴重な昔ながらの建物が当時の雰囲気そのままに描写されています。
日本の映画と違って展開が早くて気持ちが良い
この映画を見て最初に思ったことは、
ストーリー展開がサクサク進んで気持ちがいい!
と言うものでした。
日本の映画やドラマの多くは、主人公の【無言の時間】や【何かをじっと考えている時間】など、そこにたどり着くまでの展開がバカ丁寧に描写されるので、本題に入るまでに非常に長く時間かかったりします。
この映画の中でも、悩む主人公が思い切ってシンガポールに発つと言うシーンがあるのですが、おそらく日本の映画ならばそこまでたどり着くのに小一時間はかかろうかと思いますが、
なんとこの作品では
お父さん倒れる→お父さん死ぬ→遺品を見つける→お母さんの思い出の地シンガポールに行くことを決める
ここまでの流れがほぼ5分以内で終わっています。
注目すべき俳優さん
『家族のレシピ』に出てくる俳優さんの中で、私が特に注目していた人はこの人!!
劇中では、シンガポールでバクテー屋を営む斎藤工さんの叔父として出てくるのですが、なんと言ってもこの人が懐かしすぎて、大好きすぎて嬉しかったんです。
この人はマーク・リーさんと言って、シンガポールでは有名なコメディアンなんです。
なにせシンガポールは国土が東京23区とほぼ同じくらいの大きさしかないとても小さな国。
地元のエンターテイメント業界もあることはあるのですが、どうしたって海外からの流入が多くてローカルのTV番組なんて数えるくらいしかないし、あってもしょぼい。
そんな中でもローカルセレブとしてシンガポールではかなり有名なマークさん。彼の話す強烈なシンガポール訛りの英語『シングリッシュ』は、役作りのうちとは言えかなり面白いんです。
『家族のレシピ』の全体的な感想(注:ネタバレあり)

DVDには劇中でおばあちゃんが作ってくれたシンガポール家庭料理のレシピ本もついています
86分というわりと短めな映画でしたが、私の個人的な評価は
90点!!\(^o^)/
うん、全体的によかった。日本とシンガポール、どちらもなんとなく現実味を帯びた庶民的な生活感が見られるところがとっても好きでした。
見終わったあとでほんのりと記憶に残るのは、斎藤工さんの両親である伊原剛士さんとシンガポール人お母さんの、出会いから恋愛に発展するまでの道のりが、なんとも心温まって素敵だったこと。そのあとお母さんは亡くなり、お父さんは『石のような人間』になってしまうのがわかっているからこそのギャップがそう思わせるのかもしれません。
この映画のキーになるのは『日本軍のシンガポール占領』の歴史
この『家族のレシピ』のことを教えてくれたウィーン在住の友人(日本人)は、
(もしかしたら日本軍がシンガポールを占領したことを描いているから、日本ではそんなに大々的にCMとかしないのかなぁ?)(小声)
と言っていました。それが原因で日本での知名度が低いのかどうか、その真相は定かではありませんが、確かに映画の中では、
戦争中に日本軍に父親を殺されたおばあちゃんが、娘が日本人と結婚するのを許さず、その後かけおち同然で結婚してできた孫にも会おうとしなかった。
と言うストーリーで話が進んでいくのです。
斎藤工さんのお母さんは、結局日本人との結婚を許してもらえずそのままかけおちするのですが、いつかまたシンガポールに住む母親や弟と元どおりの関係になれることを望みながら、悲しみの中死んでいきました。
それでも最終的に、斎藤工さんとシンガポール人おばあちゃんは、それぞれのソウルフードを融合させた「ラーメン・テー」を食べることで和解し、お互いに亡くなったお母さん(おばあちゃんにとっては愛娘)を思って抱き合って泣くんです。
もちろん、戦争中に日本がアジア諸国にしたことは、私たち日本人も忘れてはならないし、もっと細かく事実を知るべきことだと思います。
まとめ
バクテー屋の看板娘と不器用な和食職人の出会いと結婚。そこから生まれた日本人嫌いな母親との軋轢とたくさんの悲しい別れ。
その後、亡きお母さんの思い出の味を探して、主人公マサトはシンガポールにわたり、現地のユニークなローカルフードや、かすかに残る幼少期の思い出の場所に出会います。
昔は家族で切り盛りしていたバクテー屋さんがすっかり現代風にオシャレなお店に変わっていたのも、今のシンガポールをとてもよく描写していると思いました。
最後にこの映画をみて思ったツッコミどころを2点ほど小声で紹介して、この記事は終わりにしたいと思います。
本当に良い映画だったので、ぜひ観てみてくださいね!!
『家族のレシピ』の中で、ちょっとツッコミたくなったところ
- 現地在住フードブロガーのミキ(松田聖子)が中国語でチキンライスをオーダーするシーンがあって、マサト(斎藤工)が「ミキさん中国語できるんですね」と言ったらミキ「うん、もうこっち長いからね」みたいなことを言っているのですが、シンガポールでは日本人が話す中国語よりも英語の方が断然わかってもらえるのでほとんど英語でOK。
- シンガポールで実際にラーメンチェーンを展開して大成功している「けいすけ」さんご本人が主演されていて、最後にマサトがラーメン・テーに入れる麺を作るのに協力してくれるのですが、なにせけいすけさんはやり手経営者でラーメン王であっても、役者さんではないので、演技の大根っぷりがかなり気になる仕上がり。
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